感染症法の知識

堀クリニックの堀博司です。

コロナ感染についての、基本的な知識提供を続けています。

第1回から3回までは、治療薬の話をしました。注目された薬についての知見は、ほぼ出尽くしたと思います。マイナーな実験は、まだ続いています。長崎大学が、エイズウイルスの薬であるネルフィナビルの治験を始めます。東京大学のチームは、アビガンとフサン(膵炎の薬)併用が効果があるといっています。最新のスーパーコンピュータの「富岳」でコロナウイルスと結合する物質を計算で探そうという試みもあります。

富士フィルムは、アビガンの治験が日本では、患者数が少なくて進まないため、クウエートで治験を始めると発表しました。

当面は、ブレークスルーのような結果は期待しないで先に進みましょう。

 

1週間ほど前から、日本では感染者が再び増え始めて、何となく騒然としてきました。

しかし、再び4月のように緊急事態宣言を出して、経済行為を止めることは、日本経済の破滅につながるということは、2か月の経験で十分にわかりました。

何か別の方策・施策を考えてゆくことが求められています。

ここで重要になるのは、感染症法における今回の事態の取扱いがキーワードになります。 第6回は、感染症法と今の関係について解説します。

 

感染症法は、1999年に制定され、数度の改訂を経て2008年に今の形になっています。

伝染病(感染症)を5つに分類して、その脅威の大きさにより感染拡大を防ぐ措置を定めています。

一類には、超恐ろしいエボラ、ペストが含まれています。五類には、おなじみの感染症であるインフルエンザ、麻疹、風疹、感染性胃腸炎が含まれています。

法律が制定された後に、これ以外の新たな感染症が出たときにどうするかという問題が浮上して「指定感染症」というジャンルが改訂で新しく設けられました。

新コロナは、未知の感染症として、その脅威を大きくとらえて、「指定感染症」とすることを1/28の閣議で政府が決定しました。

この決定により、政府は、法的に国民の自由を必要に応じて制限することが可能になりました。

 

コロナウイルスは、従来から存在しており風邪の原因ウイルスの一つとしてありふれたものでした。コロナウイルスが変異を起こして、2003年にSARS、2012年にMERSという新コロナウイルスが、今回の予告編として登場してきましたが、ローカルな感染症でとどまったために大きな脅威になりませんでした。

 

2019年に7番目の変異コロナウイルスが登場して、ついにパンデミックになった経緯は、皆さんがご存知の通りです。COVID19と呼ばれるウイルスになりました。CoronaVirusDisease2019を省略した表現です。

世界が慌てふためき、感染抑圧のためにとった社会的措置が経済に破滅的な影響をもたらしています。世界中で観光業・航空会社は壊滅的になっています。

 

中国の武漢で、中国政府が1月とった措置を世界が見習いました。

先に述べたように、日本政府は、COVID19を「指定感染症」に指定して、二類感染症と同様に扱うことにを決めました。二類には、結核が含まれています。

結核では、発見されると強制的に隔離されます。濃厚接触者は、保健所の監視下に置かれ

検査が強いられます。 新コロナもこれと同じ扱いになっりました。

 

世界各国も同様な強行措置を取りました。一方で少数ですが、ブラジルとスウェーデンは、五類並みの取扱いを続けています。

 

コロナ感染がパンデミックとなり6か月を越えました。

最初は、未知の感染症なので、日本では、二類として対策を考えたことは妥当だと思います。 半年間が経過して、日本では感染確認数がようやく2万人になりました。死亡者は1000人未満です。どれぐらい怖がればいいのかが、何となく見えてきたように思います。

既知の病気と比較をして、その脅威を客観的に考えることができる時期になってきました。

 

結核とインフルエンザと比較するのがわかりやすいと思います。

結核の発生数は、国内で年間に2万人、治療薬はありますが、2000人が死亡しています。

新コロナと比較すると確認感染者は同じ程度、死亡者は、その半分ぐらいとなります。

結核は、毎年それぐらいの発生がありますが、皆さんは、マスクをして結核を予防してきたでしょうか、社会的距離をおいて感染予防の対策をとってきたでしょうか?

with結核のもとで、穏やかな生活を過ごしてきました。多くの人が毛一角を脅威として感じてはいないように見えます。

COVID19は未知の病原菌であるということが、その脅威を何十倍にも拡大して感じているように見えます。

 

インフルエンザと比較しましょう。

ワクチンがあり、治療薬もありますが 毎年、流行があるのが当たり前と考えて、自分なりの予防をしてきました。感染者数は、あまりに多くて実態は不明です。ワクチンはありますが、数十万人以上が感染していると推察されます。毎年、数千人が亡くなっています。

2019年では、3000人の感染死亡が確認されています。新コロナの死亡者数は、その1/3に留まっています。

 

結核と同様の脅威と考えるならば、今のままの二類が相当です。

インフルエンザ並みと考えるならば、五類への指定変更という選択肢が生まれます。

半年間の経験を振り返って、新コロナをいつまでも二類感染症として、全員に入院隔離を強いることが必要なのかを考える時期になってきたと思います。

 

二類のままでは、とても窮屈な生活と社会的打撃がずっと続きます。

五類にすると、政府の負担は軽減され、社会での規制も緩和できます。

軽症者は自宅待機とし、重症者のみ入院とすることで、医療崩壊も防げます。

皆さんは、どのように考えますか?

 

感染症の専門家たちは、感染抑圧が使命ですので、二類のままの取扱いを続けることを主張するのは立場を考えるともっともなことです。 二類から五類への指定変更は、政治的な行為です。

政治家がキーワードを握っています。政治家たちは、国民世論に左右されます。

皆さんの考えが反映されてくるのです。この議論が、もっと広く深まることを期待します。

 

ワクチンの開発・研究は、驚くべきスピードで進んでいますが、実用化にはまだまだ時間がかかります。

少なくとも、年内は、現状が続きます。

一方で、感染症法での取扱いをどうするかの議論は、すぐにでも可能です。

皆さんといっしょに考えてゆきたいと思います。

 

2020.7.24