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いよいよワクチンの解説にはいります。
第8話 コロナ感染(ワクチン 開発の壁)
7月に入りワクチンの開発は、驚くべきスピードで進んでいます。
このスピード感の理由の一つは、遺伝子工学の進歩により、画期的な新しいアイデアが
ワクチン開発に応用されていることです。
もうひとつの理由は、巨額の開発資金が政府から提供されているためです。
新しいアイデアからワクチンを作る研究が猛スピードで進んでいるので、
ワクチンに関する学問は、この期に飛躍的に進歩するでしょう。
ワクチンの開発は、そもそも容易ではなく長い期間を要するものでした。
なぜそんなに困難なのか、そしてなぜ今回は急に開発が進んでいるのかを解説します。
一方、ワクチンが開発されて、多くの人が接種を受けて、感染症の脅威を抑制するには、
3つの高いハードルがあります。
開発の壁、時間の壁、人の心の壁と呼ばれるものです。
今は、開発の壁を打ち破るための努力が進んでいます。
しかしワクチンよる感染抑制が現実のものになるには、開発の努力だけでは完成しないのです。
それぞれ、長い話になりますので、3つの壁を1話ずつに分けて説明をします。
「開発の壁」とは、文字通り、開発の困難さを指しています。
ワクチンの開発には、巨額の費用と長い時間がかかります。
新コロナ以前にも、いくつもの大きな製薬会社が、開発に挑みましたが、開発断念の連続でした。
2つの例を示します。
エイズもワクチン開発競争がありましたが、最終的にすべての会社が断念しました。
エイズは、いまだにワクチンはなく、薬でウイルスの増殖を抑える道で、病気を抑える方法が確立しました。
低開発国で、最も大きな脅威になっている感染症は、マラリアです。
2017年の統計では、世界87国で、2億人以上が感染し、治療薬があるにも関わらず40万人が死亡しています。
幸い日本では、ずいぶんと前に無くなった病気になります。
世界的な脅威であるマラリアのワクチン開発は、色んな機関が長期にわたって取り組んでいますが、
いまだに実用となるレベルに達しません。
今までに実用になったワクチンはたくさんあります。
ポリオ、日本脳炎、おたふく風邪、風疹、麻疹など、90%以上の有効性があるワクチンは多数ありますが、
いずれも長い時間をかけて開発ができたものです。
ワクチンの作り方は、昔から同じ原理を作られています。
クラシックなワクチンまたは従来型と言われます。
弱毒化したウイルス(生ワクチン)または不活化して感染力を無くしたウイルス(不活化ワクチン)を接種する方法です。
原理は簡単でも、安全かつ感染予防効果が得られるウイルスを見つけ出すのがとても難しいのが、ワクチン開発の難しさです。
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンとして開発され普及しています。
さて、新しい原理によるワクチンの開発に世界中の研究者たちが本格的に取り組みました。
コロナワクチン開発では、クラシックなワクチン開発の手法とは、まったく異なる方法で、
研究・開発が進み実用化に向かいました。
ここ数十年で画期的に進歩した遺伝子の研究から編み出された手法です。
ウイルスそのものを使うクラシックな手法ではなく、ウイルスの遺伝子の一部分を使って
人の身体の中で抗体産生をさせようという試みです。
新コロナウイルスの遺伝子の一部分を別のウイルスに組み込んで、新しいウイルスを作るという方法も編み出されました。
詳しく原理を説明すると長くなりすぎるので、興味のある方は、自分で勉強をしましょう。
遺伝子ワクチンと呼ばれるこのワクチンが、成功すれば画期的なワクチンとなります。
モデルナ(アメリカ)が開発をしているRNAワクチン、アストラゼネカ(イギリス)が開発を進めるウイルスベクターワクチンは、世界初の試みです。
今回は、政府が巨額の資金提供をしているので開発スピードが驚異的になっています。
アメリカ政府は、モデルナに、すでに1000億円の資金提供しています。
日本も資金提供をしていますが、残念なぐらい桁違いに少ないです。
これらの新型ワクチンは、コロナウイルスそのものを使わないので、ワクチンによって病気になる恐れはありません。
大量生産をするときに、ウイルスを増やすという時間のかかる工程がないので、早くに大量生産が可能であることも魅力です。
ただし、人類初めての新型ワクチンなので、予期しない副作用や、本当に感染を防ぐ効果が得られるのかは、まだまだ多くの研究と実験が必要です。
17年前のSARSワクチンの開発の時は、ワクチンを接種した人の方が、
感染時により重症度が高くなるという本末転倒の結果がでたため、関発断念の理由のひとつになりました。
もう少し、詳しくワクチン開発手順を勉強しましょう。
安全性確認が、まず最初です。
新ワクチンは新しいアイデアに基づくでも、人体にとっては異物になります。
身体に注入して、抗体を作るのがワクチンの原理です。
有害な抗体ができる可能性もあります。
発熱・リンパ節が張れるなどの症状が強くでることもあります。
有害事象を調べるためには、動物で実験をしたうえで、少数の健康者(ボランティア)に対して実験が行われます。
安全性が高いと判断ができれば、第2段階に進み接種者の体内で本当に抗体ができたのかどうかを調べます。
当初の予想よりもはるかに早く、すでにこの段階まで、研究が進んでいるワクチンがあり、次々と報道が続いています。
最後の第3段階であるP3(Phase Three)が、最も大規模で、困難かつ時間がかかります。
ワクチンにより、体内に抗体ができたとしても、それが実際に感染予防につながるのかを確認する実験です。
モデルナとファイザーは、この最終実験に取り掛かったと7月末に発表されています。
ワクチン開発でもっとも難しいのが、この有効性を確認する実験です。
数千人単位で、ワクチンを接種した人とワクチンを接種しない人を集めて、感染率や重症化率がどれぐらい低くなることを確認します。
これには数か月の期間がかかります。
この実験によりある程度の効果が証明されると、政府による承認・実用化へと進みます。
通常の薬では、この承認を得るのに5〜10年ぐらいはかかりますが、今回はすでに政府の支援を得ているので、1年以内に短縮される見込みです。
それでも、大規模生産ができるようになり、皆さんがワクチンを接種するまでには、まだ1年以上はかかると見込まれています。
今、100以上の新しいワクチンが開発が進んでいます。
いくつかが失敗しても、どれかが実用になると思います。
最初にできるワクチンは、新しい手法による世界初のワクチンになる見込みです。
もちろん安全性は、確認されていますが、多くの人が接種を受けるようになると、予想外の重い副作用が起こることが懸念されます。
クラシックワクチンのように90%以上の有効性は期待できないという専門家の意見が多いです。
WHOは、すでに50%以上の有効性があれば、ワクチンとして認めるという声明をしています。
全世界の人がワクチンの完成を待ち望んでします。
しかし、待ち望む人のすべてが、ワクチンの接種を受けるかどうかはこれからの課題です。
早ければ、あと半年でワクチンが手に入るかもしれません。
多くの人が接種を受けないと感染流行を阻止することはできません。
その時に、あなたは新ワクチンを受けるのかどうかの判断をしなければなりません。
次回は、2つ目のハードル「時間の壁」を解説します。
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